2018年2月8日

NHKの受信料についての最高裁判決

NHKの受信料は支払わなければならないのか?~

Q 私は自宅にテレビを設置していますが、NHKを全く視聴していないので、NHKの受信契約を拒否しています。受信契約を締結していないので、受信料を支払わなくてよいのでしょうか。もし支払わなければならないとしたら、どこまで遡って支払うことになるのでしょうか。

A この点に関して、遂に平成29年12月6日最高裁判所で判決が下されましたので、以下要旨をご紹介していきます。

1 受信契約の成立時期
まず、受信契約の締結義務はあるのについてですが、最高裁は「放送法64条1項(『協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。』)は,受信設備設置者に対し受信契約の締結を強制する旨を定めた規定であり,日本放送協会(NHK)からの受信契約の申込みに対して受信設備設置者が承諾をしない場合には,その者に対して承諾の意思表示を命ずる判決の確定によって受信契約が成立する。」としています。したがって、受信契約を拒否し続けても、裁判で受信契約の承諾を命ずる旨の判決が確定してしまうと、それにより受信契約が成立することになります。

2 受信料の支払開始時期
次に受信契約が成立したとして、いつから受信料を支払えばよいのかという点ですが、本来は契約が成立した時点以降から受信料の支払義務が発生するはずなのですが、最高裁は「受信契約の申込みに対する承諾の意思表示を命ずる判決の確定により受信契約が成立した場合,同契約に基づき,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生する」としています。つまり、テレビ等の受信設備を設置した月まで遡ってそれ以降滞納している受信料を支払わなければならないということになります。受信契約を拒否したほうが得にならないように判断したのです。


3 消滅時効の起算点
なお、さらに最高裁は受信料の消滅時効の起算点についても「受信契約に基づき発生する受信設備の設置の月以降の分の受信料債権の消滅時効は,受信契約成立時から進行する」としています。受信料債権の消滅時効期間は5年ですので、受信契約を拒否し続けた者が得をしないように、判決の確定によって受信契約が成立しないと消滅時効は進まないとしたのです。


4 最後に
以上のとおり、最高裁によって受信契約を拒否したほうが得にならないように判断枠組みが示されましたので、もし未払いのある方は速やかに受信料をお支払いすることをお勧めします。